測量標石は国土地理院の所管する国家基準点だけでなく他の省庁や公共機関、個人のものもあります。直接、地図測量に関係ない境界標識など多くの種類があります。
日本水準原点近傍の水準基標
地図:東京首部
国会議事堂前にある日本水準原点の近傍には多くの測量標石があります。原点の付属点としての水準点も5ヶ所ありますが、このほかに水準原点の建屋から西南に50メートル地点と西に50メートル地点にそれぞれ「水準基標No.1」と「水準基標No.2」があります。これは1970年(昭和45)に営団地下鉄8号線の工事に際しトンネルから30メートル離れた日本水準原点への影響を監視するために設置されたものです。[原田健久:水準原点基標 測量 1971.6 日本測量協会]
水準基標は花崗岩でできた蓋石があり50センチメートル角で縦方向に傾斜があり上部での厚さは18センチメートルになっています。「水準基標No.1」(No.2)と「国土地理院」の刻字があります。内部はともに金属標でNo.1のほうは「一等水準点 基本 No.(なし)建設省国土地理院」の刻字がNo.2のほうは「水準基標 No.2 建設省国土地理院」と刻字されています。地表から30メートル下まで鋼管を打ち込み上端に金属標を固着してあるそうです。
街区基準点
2004年(平成16)から3年間の予定で「都市再生街区基本調査」といい都市部の地籍調査を推進するための事業が国と自治体で行われています。この調査では現地踏査とともに街区の角を示す位置に「街区点」が設定されますが新たな標識が設置されるのではなく既存の道路境界杭などが利用され、その位置を求める測量を「街区点測量」といわれています。街区点測量に必要な「街区基準点」は「街区基準点測量」により新たに設置されます。
街区基準点には約500メートル間隔に設置される「街区三角点」、直径7.5センチメートルの平らな金属標と街区三角点を基準に約200メートル間隔に設置される「街区多角点」、直径5センチメートルの平らな金属標、さらにそれらを補完する補助点鋲、直径4〜5センチメートルの鋲がありますが多くは道路に設置されます。金属標の表面が平らなのは歩行者がつまずかないようにバリアフリー対策にもなっています。平成16年度だけでも約77,000点の街区基準点(三角点と多角点)が設置されました。
街区基準点測量と街区点測量は国土交通省土地・水資源局国土調査課が計画するので国が行なう「公共測量」ということになります。同局の委任により国土地理院は作業の発注、監督などを行なっています。
地方自治体・公共機関の測量標識
地方自治体や公共機関の測量標識は大きく基準点と水準点にわけられます。基準点は本来、三角点や水準点もふくまれる用語ですが地方自治体などが実施する公共測量では水平位置をさだめるために設置されるものを「三角点」とはいわず(狭義の)「基準点」とよばれ、標高をさだめるものを「水準点」とよばれていることが多いようです。基準点や水準点を用いた測量は都市計画、土地改良、地籍調査、運輸計画などひろい分野で利用されています。基準点は測量された精度により一級から四級に区分されており国家基準点である三角点と同様に標高も測量されていますが、これはおもに水平位置の計算をするためであり水準点にくらべると精度は低いようです。なお地方自治体の基準点なども国家基準点と同様に点の記がつくられています。
道路元標
道路の起点、終点の基準となる標識を道路元標といい1919年(大正8)道路法によって各市町村に置くことが決められています。それ以前にも里程元標という同じ目的のものもありました。道路元標は道路に面し最近距離で路端に標石を設置することになっていますが現在は、デザインに工夫が凝らされ記念碑としての役割が多いと思われます。道路元標は地図測量のために必要な標識ではありません。
河川・道路・漁業関係の標識
河口からの距離を示す距離標や国道の起点から終点まで1キロメートルごとにある地点標(キロポスト)をはじめ地図作成に直接関係はありませんが国土を維持するためなどに正確な測量をし、その結果設置された標識が多くあります。