国土地理院の「インテリジェント基準点」といわれる未来志向の三角点が神戸市に試験的に設置されています。
国土交通省が推進する「自律的移動支援プロジェクト」の実証試験として設置されたもので、このプロジェクトはだれもが安心して快適に移動できる環境をつくることを目的としており歩行者に移動方向や街や店の情報を文字や音声などで示したり身体の不自由な人の移動支援や観光地における案内などにも利用できるようになります。
道路上などの実際の場所に電子的に読取り可能な識別番号(位置を特定する「場所コード」)をつけたICタグなどを設置し、その場所に関する情報やサービスの提供が可能なインフラをつくりますが「場所コード」の付与とともに高精度な位置情報を与えるために「インテリジェント基準点」が設置されています。ともに非接触型の専用読み取り端末(ユピキタス・コミュニケーターとも呼ばれます)を近づけると情報を呼び出すことが可能です。
「インテリジェント基準点」は直径8センチメートルで測量用金属標に似ていますが従来の三角点や水準点と異なり、ふくらみのない平面にICチップが埋め込まれ透明プラスティックで保護されています。横に細長い形状はアンテナを封入しているからです。金属標の表面が平らなのは歩行者がつまずかないようにバリアフリー対策にもなっています。「インテリジェント基準点」の第1号は2004年(平成16)9月に神戸市らんぷミュージーアム前に設置されました。[国土地理院:「GSIテクノニュース」 146号 2004.11 p1]
2005年(平成17)4月から実証実験が開始され現在、神戸市の旧外国人居留地を中心に約50メートル間隔で80個の「インテリジェント基準点」が、また「場所コード」のはその周辺の道路、地下商店街(さんちかタウン)などに多数設置されています。街角に貼り付けたICタグや目の不自由な人の誘導ブロックなどのほか照明灯や地下街の天井などには無線、赤外線マーカーも設置されています。ICタグは基本コード長が128ビットのIDタグ規格ucodeが利用されています。
「場所コード」と「インテリジェント基準点」を連携させたシステムの構築についても検討されており、たとえば場所コードには識別番号だけを割り振り、必要な情報はネットワーク通信を介してサーバから取得する、あるいは場所コード自体にある程度の情報を持たせて専用読み取り端末で直接そのデータを取得するといった方法が考えられます。
移動支援の具体例として目の不自由な人が杖で「場所コード」の設置してある誘導ブロックを触れると、音声でその位置情報が分かるといったシステムなどが実験中です。また「インテリジェント基準点」は地下埋設物の情報管理にも利用できるよう検討されています。
国土地理院では神戸市でのインテリジェント基準点の実験とはべつに2006年(平成18)から新設や既存の基準点にICタグを埋め込むテストを実施中です。ICタグは縦13.5、横11.5、厚さ8ミリメートル程度の円筒状の金属で中にICチップが封入されています。記憶容量は2キロバイト程度、読み取り端末との通信可能距離は10ミリメートル程度です。標石上面端に穴を開けICタグを埋め込みシリコンボンドで固めます。外部の装置で記録を書込み、読み出しが可能で現在は識別番号のみ記録されていますが将来は基準点の情報も記録する方向で検討されているようです。しかし読み取り端末がインターネットなどを介してデーターベースとつながっていれば識別番号だけで十分と思われます。一方、識別番号だけなら、わざわざICチップに記録させなくても標識に刻字された番号を人手で端末にインプットすれば済みますから、あまり意味がありません。どのように活用するかが今後の課題です。
右の写真は神戸市西区の流通科学大学近傍にある四等三角点「貝谷大池」5235−00−2502で2006年(平成18)に新設されたものです。一辺12センチメートルの標石上面の丸い白い部分(直径1.5センチメートル)にICタグが埋め込まれています。
地理空間情報活用推進基本法の制定