三角測量では最初に二点間の距離を正確に測り基線とします。しかし地球規模となると物差しで測るというわけには行きません。近年はVLBIによる基線観測が国際活動の一環として行われています。VLBIとはVery Long Baseline Interferometoryの略で超長基線電波干渉法とよばれ、もともと電波天文学の分野で発達した計測方法です。数十億光年離れた準星(クエーサー)からの電波を複数地点で受信して同じ信号の受信時刻の差(遅延時間)から相互の位置関係を測るものです。遅延時間を1億分の1秒の精度で測定し光速度をかけると行路差になり2点間の相対的な位置が求められます。その精度は数千キロメートル離れている2点間で数ミリメートル程度の誤差です。VLBI信号処理装置では24時間で200から300個の準星を観測できます。VLBI観測の成果は2002年施行の世界測地系への移行の際の基礎データになりました。
地球の表面をおおう岩盤をプレートといい、その厚さは70〜150キロメートルあります。プレートの下には軟らかい岩がありプレートはその上に乗っていますが、いくつかのプレートが地球の表面を動きまわり地震や火山の噴火を引き起こします。プレートの動きについての学説をプレート・テクトニクス(Plate tectonics)といいますがこの説では説明できない現象もあり最近ではプリューム・テクトニクス(Plume プリュームはマントルの中を上昇するマグマのこと)という説も出現しています。VLBIは全地球的な規模でのプレート運動や地殻変動の検出にも応用されます。
アンテナ
上の写真は、つくばの国土地理院の構内にあるVLBIのパラボラアンテナです。写真には小さく写っていますが直径32メートル、重量450トンあり、毎秒3度の角度で回転することができます。つくばでは1998年から観測を開始していますが測地成果2000といわれる新しい国際基準づくりに貢献しました。
このアンテナは微弱な電波の受信専用で中継アンテナのように送信はしないので人体や受信障害などの影響はありません。
VLBI観測点金属標
VLBIのアンテナの中心位置と三角点などの国家基準点網とを測地的に関係づけるために設置された標識です。また2001年(平成13)の新測量法(同施行令)では東京にある日本経緯度原点に対する原点方位角の目標点に定められています。この金属標は直径15センチメートルのステンレス製で大理石の基台にはめ込まれています。
補助点標識
つくばのVLBIのパラボラアンテナ近くの構内で見かけた「VLBI補助点」という標識です。三角点なみに保護石もありました。後日しらべたところ他にも数点あります。VLBIのパラボラアンテナの中心が変動することがないよう点検のために設置されているものです。
可搬型アンテナ
つくばより小型ですが北海道新十津川町、茨城県鹿嶋市、東京都小笠原村、鹿児島県姶良町の4地点にもあります。また、つくばにはVLBI可搬型アンテナもあり全国に移動することができます。近畿地方では和歌山県の海南市に設置場所があります。
干渉SARによる観測
SARはSynthetic Aperture Radarの略で合成開口レーダーと呼ばれます。SARは人工衛星に搭載した特殊なレーダーにより地表面の詳細を調べるもので衛星から地球に向け電波を送信し地表面からの反射波を受信します。人工衛星が移動しながら電波を送受信して指向性のすぐれた大きな開口を持ったアンテナと等価な画像が得られるように開口を合成するのが合成開口レーダーと呼ばれる技術です。
このSAR観測を地球上の数十キロメートル範囲の同じ地域に対して2回以上行って画像解析により干渉による差をとると地表面の動きを詳細に知ることができ地震・火山活動や地盤沈下による地表の動きを宇宙から調べることができます。国土地理院では干渉SAR技術への取り組みを1994年(平成6)から始めていますが現在は研究開発の段階から実用の方向にめざしています。日本の代表的なSAR衛星には2006年(平成18)1月に宇宙航空研究開発機構によって打ち上げられた「だいち」があります。 重さ4トンと世界最大級の人工衛星で軌道を少しずつずらしながら地球を周回しセンサーで陸地をくまなく観測します。